http://blog.mtgmadness.com/index.php/pro-tour-dublin-report-5th/guillaume-wafo-tapa


 記事の執筆というのは私にとって得意分野ではなく、しばらくの間ライターとしての活動はしていません。それが嫌いというわけではないのですが、正直言って非常に骨が折れる作業なのです。しかし実は何でもできる人間になりたいと考えていて、執筆のスキルも向上できるはずだと思っていたので、ずっともどかしい思いをしていました。先週末にMTG Madnessに加入し、ライター業に携わる機会をいただいたこともありまして、このたび再び寄稿するに至りました。

 最初はトーナメントの内容について詳細にレポートしようと思ったのですが、申し訳ありませんが当時のメモが残っていない上に私の記憶もあいまいなのです。しかしPatrick Chapinから、「大会の各ラウンドであったことをいちいち報告するよりは、デッキ構築のプロセスやカードの選択基準について記事にした方が面白い」という、素晴らしいアドバイスをもらいました。そういうわけで、今回の記事は以下のようなものになりました。

 まず今年の夏に、Raphael LevyからTeam Revolutionに勧誘されました。当時のメンバーは Melissa DeTora、James Searles、Raphael Levy、Miguel Gatica、Rob Castellon、Mike Castellon、Louis-Samuel Deltour、Pierre Dagen、Jeremy Dezani、Yann Guthmann, Timothee Simonot、Stephane Soubrier、Paul Ferret、Guillaume Maugerという面々でした。その後、テーロスのスポイラーが公開される時期になって、私はとてもわくわくしました。私はテーロスの世界観が大好きで、デザインの完成度が高いセットだと思います。
 チームの予定は、プロツアーの2週間前の日曜日にダブリンに集合し、10日間をかけてデッキを調整するというものでした。一見すると余裕のあるスケジュールですが、プロツアーが複合フォーマットであることを考えると、とても限られた時間だと言えます。

 全員が2週間前に到着していたわけではありません。こうなることが最初から決まっていたのかどうかはわかりませんが、初日に集まったのはちょうど8人だったのです!このおかげで、すぐにドラフトの練習を開始できました。私は自らに、「プロツアーまでの毎日に、1日当たり2回のドラフトを行い、その結果をチームメイトと議論する」というノルマを課しました。

 構築の方はやや問題がありました。思い起こせば、チームとしての調整はあまり機能していなかったような気がします。調整なんてやらないとまで言い出すような奴もいました。しかしそれでも私たちとしては、これに取り組むほかありません。チームがまだ若いこともありまして、こうなることは仕方なかったのかもしれません。やることは基本的に、デッキをひたすら組んではそれを回すだけです。私はできれば(…と言いつつ絶対にそうしたでしょうが)コントロールを使いたかったので、それに向けて良い案がないか探し始めました。最高のコントロールを検討するのに付き合ってくれたのは、チームの中ではLouisだけでした。2人でいろいろなことを議論し、彼のおかげで私たちは多くの結論を導き出すことができました。

 全くの新環境でコントロールデッキを組み上げるというのは、とても疲れる仕事です。最初に、仮想敵のアグロデッキを組み上げることと並行して、選択肢のリストから不要なものを選別することと、不足しているものを明確にすることから始めました。今回の場合、デッキ構築は3つの要素から制限されていました。まず、マナベースのことを考えると2色で組むのが良さそうですが、3色目を加えることも考慮すべきだということです。M10ランドはショックランドと組み合わさり完全に機能していましたが、テーロスの2色土地ではそうはいきません。次に、現環境には使用レベルに達している全体除去が2種類しかないことです。《神々の憤怒》と《至高の評決》がそれです。最後に、ドロー補助は青または黒でしかできないので、青白・赤青・赤黒のいずれかをベースにしたデッキしか候補になりえないことです。

 私はさっそく選別を開始しました。つまり、弱そうな戦略を試して、その後それを廃棄することです。今回の場合、青白コントロールは全ての点において満足がいきました。《至高の評決》は実に素晴らしいカードでした。クリーチャー以外のカードでは最大級の脅威ですし、制限のない《神の怒り》ということで少なくともクリーチャーの問題は解決できます。《アゾリウスの魔除け》もまた、青白を選択する理由の一つとなります。もちろん青白を選ぶ最大の理由は《スフィンクスの啓示》です。

 次に私は、《神々の憤怒》を使ったデッキを検討することにしました。《アゾリウスの魔除け》では、対戦相手のターンの間に干渉することが困難です。このデッキは《アゾリウスの魔除け》や《拘留の宝球》など、非常にタップアウトしやすいデッキです。使用上の注意として言っておきますが、《アゾリウスの魔除け》はほとんどソーサリーのようなものですよ。タップアウトするデッキでは、その名の通り受動的な行動がほとんどありません。タップアウトしていると行動パターンが読みやすいので、対戦相手にとって危険を察知しやすくなり回避も楽になります。ご存じだとは思いますが、強力なコントロールデッキは、インスタントタイミングで行動することがほとんどです。我々が今日「Flash Game」と呼ぶようになったように、インスタントタイミングでの行動はそれ自体が大きな価値を伴うのです。
 赤を加えることで、この問題を解決できそうな気がしました。打消し用のマナを構えつつ戦場を一掃することができるため、《神々の憤怒》は打消し呪文を多用するプランと非常に良くマッチするだろうと考えたからです。

 インスタントタイミングでのカードの引き増しは、マジックの歴史を紐解いても重要な問題であることがわかります。テーロスで登場した《蒸気占い》は使用に耐えうるレベルにあるか、興味がありました。しかし結論から言うと、その弱さには失望させられました。単刀直入に言って、《霊感》より少し強いかな、という程度です。決して悪くはないのですが、興奮するほどではありません。コントロールデッキをプレイするというのは、いわば相手の行動に追随し、それに追いつこうとすることです。カードを引く行為は相手に対する回答を見つけ出すための手段です。しかし《蒸気占い》が、あなたが欲しているカードを供給してくれることはまずないでしょう。その一方で、何を引いてもいいような状況を演出できればもっとこのカードは効果的に働くと考えたので、すぐさま廃案にはしたくありませんでした。例えば《熟慮》や《瞬唱の魔道士》のように、墓地を活用できるなら活躍できたかもしれません。しかし今回は、私が期待するようなドロー能力を備えていないという結論に落ち着きました。

 巨大なクリーチャーやプレーンズウォーカーを破壊できないため、イゼットカラーのデッキはすぐにグリクシスへと変貌しました。《蒸気占い》を《思考を築く者、ジェイス》と取り換えてまもなく、グリクシスはエスパーの下位互換だということに気づき、廃案にしました。少しの間だけ、ラクドスコントロールも検討しました。このデッキには確かな選択肢があり、長所もいくつか見られました。しかし結局《スフィンクスの啓示》を使った方が良いということになり、このデッキにそれほど時間を割くことはありませんでした。

 ここからがダブリンでチームに合流した時の話です。合流に先立って、私は既に地元で調整を行っていました。これ以降の記述では、【私たち】というのは【Louisと私】を指すものと考えてください。私たちはまず青白コントロールの調整を始めました。既に述べたとおり、特に使いたいカードがなく、わざわざ選択する理由が見つからなかったので、赤をタッチすることはしませんでした。「バントフラッシュ」というデッキの可能性を見落としたくなかったので、《ワームの到来》などの良さげなカードを使ったタッチ緑のデッキも試しました。しかし、予期していたような活躍をしないまま、デッキは失敗に終わりました。

 ここで、私たちが予想していたメタゲームについて触れておきます。《スフィンクスの啓示》は前回のプロツアーでは非常に強力なカードだったため、今回のプロツアーでもそれを使ったデッキが一大勢力を築くだろうというのが周囲の見解でした。この点について、私たちはエスパーというデッキがコントロール対決で有利に立つだろうと確信していました。ほとんどの人がエスパーまたは青白を仮想敵のひとつとしていたはずです。これらのデッキに対して非常に相性が悪いため、私たちは青単信心というデッキを使おうとは思いませんでした。
 私が恐れたのは、参加者全員がコントロールを目の敵にしているなら、そもそもコントロール自体に人権がないのではないかということです。ここに、私が青白よりエスパーを好む理由のひとつが隠されています。青白2色ではできることが限られているので、対策も簡単に立てられます。エスパーが危惧すべき点はそのマナベースですが、調整を重ねることでベストな土地バランスを見つけることができました。占術土地はとても素晴らしいカードです。最初にこれらの土地を見た時の印象は「ギルド門よりはマシかな」程度だったのですが、それらがはるかに優れていると分かるまで時間はかかりませんでした。次のターンに引くところだった不要牌をライブラリーの底に送る能力は、特にコントロールデッキにおいて役立ちます。優先して削るべきは、占術ランドよりもショックランドだとすぐにわかりました。

 エスパーを使う上で最初に行ったのは《悪夢の織り手、アショク》がどれほど優れているかということの検証です。何といっても3マナのプレーンズウォーカーなのですから、私もかなり期待を寄せていました。
 最初にがっかりしたのは、このカード1枚だけではゲームに勝てないと悟った時です。コントロールを構築する時に、フィニッシャーをどうするかという問題は常に付きまといます。多くの場合高マナ域のカードを採用することになるので、それが手札で腐りながらゲームに負けてしまう、なんてことも多々あります。昨年までは《ネファリアの溺墓》が使えましたが、今年からは仕方なく《霊異種》のようなカードを使うしかありません。《悪夢の織り手、アショク》の話題に戻りますが、このカードを使っていて、これが単独で仕事を完了しないことにすぐに気づきました。《ネファリアの溺墓》と違って複数枚を並べることができないので、これでゲームに勝とうとすると非常に気が長い話になってしまいます。このため、ゲームを終わらせるための別のカードを検討しなければなりませんでした。
 場に出たターンには盤面に何も影響を及ぼさないので、アグロ系のデッキに対してはわずか数点のライフ損失を防いでくれるカードでしかありません。もしクリーチャーを捲らないようであれば、相手は《悪夢の織り手、アショク》を無視してあなたを攻撃してくる可能性さえあるのです。そしてもし次のターンにクリーチャーを捲れば、今度は標的をそちらに移し替えるでしょう。このような対処法は、どんな除去呪文を唱えるよりもひどいものです。
 対コントロール戦の場合でも、期待していたほどの活躍はしてくれませんでした。動きが悠長であり、盤面を固めて勝勢が確実になった時以外では効果的とは言い難いカードでした。
 この時《記憶の熟達者、ジェイス》が脳裏に浮かびました。このカードで最も使用するのは、1枚だけ削る方ではなく、一度に10枚を削る能力だと思います。こちらの方がよりゲームに勝ちやすくなるでしょうし、何より《悪夢の織り手、アショク》ではこのような芸当は不可能です。こちらはわずか数ターンしか存在を許されず、結局何も仕事をしないまま対処されて終わりです。しかし今回は、本当はあっさりと廃案にはしたくありませんでした。実際にはどうなのかわかりませんが、偏見を持たないことは大切なのです。

 今回私が使用したデッキリストを載せておきます。

4《欺瞞の神殿》
4《静寂の神殿》
4《神聖なる泉》
4《湿った墓》
4《神無き祭殿》
4《島》
2《平地》

1《霊異種》

4《アゾリウスの魔除け》
4《破滅の刃》
4《英雄の破滅》
1《拘留の宝球》
2《思考囲い》
3《解消》
2《予言》
4《至高の評決》
4《思考を築く者、ジェイス》
2《太陽の勇者、エルズペス》
3《スフィンクスの啓示》

4《万神殿の兵士》
2《ヴィズコーパの血男爵》
2《罪の収集者》
2《否認》
1《反論》
2《拘留の宝球》
1《霊異種》
1《思考囲い》

 デッキのフィニッシャーは《霊異種》1枚と《太陽の勇者、エルズペス》2枚に散らすことにしました。デッキの調整を通して、《太陽の勇者、エルズペス》はとても魅力的なカードでした。アグロデッキ全般に強く、これだけでゲームに勝ててしまいます。これの2枚目の枠を用意するために、《霊異種》か《スフィンクスの啓示》を減らさざるを得なかったぐらいです。1枚だけ入れた《霊異種》は、至る所で発生するコントロールデッキのミラーマッチで大活躍してくれます。4枚の《思考を築く者、ジェイス》と《至高の評決》は鉄板でしょう。《スフィンクスの啓示》が3枚なのは、単に枠の都合によります。

 私は大量のカードを引けるのでコントロールデッキが大好きです。カードを引く行為こそがコントロールの醍醐味であるとも考えています。追加のドローをすることなく6ターン連続で土地を並べることが可能でしょうか?たとえ27枚の土地がデッキに入っていても無理でしょう。4枚の《思考を築く者、ジェイス》は追加ドローの出発点となりますが、これだけではまだ不十分です。もっともっと他のカードが必要でした。《熟慮》があればよかったのですが、今回は《予言》で妥協することにしました。

 除去呪文を選定していて、《破滅の刃》はとても優れたカードだとすぐにわかりました。欠点もほとんど気になりませんでした。黒単デッキも試してみましたが、私たちでは良い構成を見つけることができませんでした。《破滅の刃》は《変わり谷》を除去するのが主な役割となります。他の候補は《肉貪り》ですが、とても《破滅の刃》とは比べられるレベルにありません。2マナ域のカードを最大限に強化したかったので、このカードは全てメインボードに収めることにしました。

 このデッキで意見が分かれるところは、《拘留の宝球》と《英雄の破滅》の枚数でしょう。実際、この問題は今回のデッキリストに関して最も質問された点です。何故《英雄の破滅》は4枚なのか?何故《拘留の宝球》はこれだけしかないのか?メインボードとサイドボードの配分を変えるのはだめなのか?…など。確かに《拘留の宝球》はインスタントではありませんが、各種《神》やその武器への回答となります。複数のカードをまとめて対処できることもあります。では何故こうなのか?
 私の答えは、既に述べた通りです。そう、インスタントでないから。この言葉が意味するところは非常に重要なものです。私にしてみれば、《拘留の宝球》の方が用途が狭いカードなのです。もう少し詳しく説明します。
 エスパーに対して有利なアグロデッキを作ろうとした結果、大体同じカードが採用されることが分かりました。その種類はそれほど多くありませんが、いずれにも共通していたのは《至高の評決》に対して強いということです。例えば以下のカードです。

・《変わり谷》
・プレーンズウォーカー(《ドムリ・ラーデ》、《歓楽者ゼナゴス》)
・《幽霊議員オブセダート》
・《復活の声》
・各種速攻クリーチャー(《嵐の息吹のドラゴン》、《霧裂きのハイドラ》)
・各種瞬速クリーチャー(《加護のサテュロス》、《ワームの到来》)

 ワームトークンを《拘留の宝球》で対処する様子を想像してみてください。5点のダメージを受けた上に、他のアクションが取れたかもしれないのに無駄にマナを使わされてしまいます。これでは大幅なテンポロスです。《拘留の宝球》は速攻や瞬速に対して明らかに相性が悪いカードですし、速攻クリーチャーがプロテクション(白)や(青)を備えている場合さえあります。《変わり谷》を対処することもできません。《変わり谷》は非常に多くのデッキが採用していると考えられるので、この問題は非常に深刻です。
 一方で《英雄の破滅》はこれらの問題を解消してくれます。《英雄の破滅》がインスタントであることがここで(対象の広さとテンポアドバンテージの点から)大きな手助けとなるでしょう。あなた自身は気づかないかもしれませんが、対戦相手はあなたの土地が起きていることを意識して別のプランを選択するようになるかもしれません。
 確かに《拘留の宝球》は、《神》とその武器を処理するという、《英雄の破滅》ではできないことをやってのけます。また《拘留の宝球》はマナ拘束が緩く唱えやすいという利点もあります。しかしそれらが、前述の「インスタントタイミング」という問題を補えるほどのメリットになるとは私は思いません。《神》を対処したいのであれば信心の数を減らすことを目指しましょう。《海の神、タッサ》を《拘留の宝球》することは悪手です。対戦相手は4枚の《海の神、タッサ》をデッキに入れていて、2枚目を手札に抱えているかもしれないのですよ?
 当初はメインボードに2枚《拘留の宝球》を取るつもりだったのですが、既に3マナ域が渋滞していた事が問題となりました。《予言》はどうしても必要ですし、3枚の《解消》もミラーマッチのことを考えると抜けません。仕方なく2枚目はサイドボードに落とすことにしました。

 パーミッション戦略として《中略》を取りたくはありませんでした。タップインする土地を多用する都合で、このカードは使い勝手がとても悪いのです。またローテーションに伴い、戦場に出たり離れることで効果を発揮するクリーチャーは姿を消しました。そのため《本質の散乱》は《破滅の刃》に劣るカードになってしまったのです。クリーチャーには既に対処する用意が十分ありましたので、真に打ち消したいカードはクリーチャー以外となります。序盤に登場するプレーンズウォーカーを打消し呪文で対処することは不可能です。このデッキはタップアウトすることが多く、対戦相手もこちらが隙を見せるまでは重要なカードを唱えるような真似はしてこないでしょう。他のおとりのカードを唱えて、次のターンを待つに違いありません。
 こんな時こそ《思考囲い》が大活躍します。打消し呪文と違って、こちらは非常にマナコストが軽いのです。ずっと3枚で調整してきましたが、1ゲームの間に2枚引くことにうんざりしたのと、序盤に引くだけでよいカードだということもあって、結局2枚にしました。あっ、ミラーマッチではいつでも大活躍でしたよ。

 サイドボードの役割は一目瞭然でしょう。《万神殿の兵士》は最後まで悩んだカードですが、入れておいて正解でした。当初はもっと赤単に強いカードにしようと思っていました。しかしWWを要求する《管区の隊長》は少し欲張り過ぎだろうということになり、《万神殿の兵士》の方にしました。要求するマナが1マナという所も気に入っています。またこのカードはそれ以外のマッチでも活躍します。時々《鋤引きの雄牛》が入っているデッキを見かけますが、何故採用されているのか私には理解できません。
 サイドボードに関してはっきりしているのは、もっとたくさんの《反論》が必要だったということです。逆に《罪の収集者》は入れたことを後悔したカードです。ミラーマッチとセレズニアとの対戦でサイドインするカードということで採用していたのですが(セレズニアには多数の呪文が入っていて、その中には《根生まれの防衛》なんてものもあります)、結局ミラーマッチでもそんなに強いカードではなく、エスパー相手にははっきり言って不要でした。この枠を《反論》にしたり、追加の《思考囲い》や《強迫》にするべきでした。

 今回のイベントに臨むにあたって、私はこのデッキに満足していました。赤単とグルール以外に不利なマッチアップがなかったからです。赤単には、タップインする土地が多すぎることが枷となります。グルールは脅威が多数含まれていることが問題です。《歓楽者ゼナゴス》はコントロールにとって致命的で、彼らは序盤からプレッシャーを掛けてきます。そうそう、そのどちらもが《燃え立つ大地》を採用していますね。この2つには《ヴィズコーパの血男爵》で立ち向かうことにしていました。グルール相手にこのプランが正解かどうかはわかりませんが、調整中に確認ができなかったので実戦で感覚を掴むことにしました。

 チームメイトのほとんどが同じホテルで過ごしていて、それ以外のメンバーも正午には集合していました。全員が集まると、皆の気持ちが高ぶっていくのが強く感じられました。時間とは、とても早く過ぎ去ってしまうものです。私たちが練習に集中するあまり、様子を見に来た人たちが「食事をする場所がないじゃないか!」と文句を言うほどでした。私たちは本当に毎日、ぶっ通しで練習を重ねてきました。決して苦痛には感じませんでした。しかし恐らく今回の旅は、今までで最悪なものだったと思います。ホテルの従業員もサービスもよかったのですが、本当に苛立たしかった唯一の問題は、ホテル前の通りが深夜もうるさくて寝つけなかったことです。

 ついに大会がスタートし、ドラフトの時間となりました。私は練習期間中、ずっと青黒コントロール戦略の研究に時間を注いできました。安く拾えるカードを最大限に活用できるからです。最初のうちはこの戦略は大失敗が続いていましたが、最後の方になるとコツを掴めて成功するようになりました。そのため、本番でもこの方針を貫くつもりでした。初手は《戦識の重装歩兵》を流して《骨読み》をピックし、2手目も同じカードをピックしました。1stドラフトのデッキは青黒になりましたが、決して無理を通した訳ではなく、周囲と協調した結果がこうなっただけです。どういうわけか、チームメイトの中には私の言うことを信用しない人たちもいたようですけれど。結果は1-2でしたが、これが悪かったとは考えていません。ドラフト自体は成功したと思います。欲を言えば、開封した3パック目に《蘇りし者の密集軍》よりも強いカードがあればよかったのですが。ピックが上手くいってきちんとゲームができたとしても、勝負に負けるなんてことはよくある話です。

 これから構築戦の話題へ移ります。ちょっと記憶があいまいなのですがお許しください。最初のラウンドでは赤単と対戦したはずで、この時「ああ、もうすぐ僕のプロツアーも終わりだな…」と思いました。第1ゲームは負けましたが、2本目を《万神殿の兵士》のおかげで取り返しました。3ゲーム目は相手のドローが弱く、サイドボーディングを失敗していたのでこちらが勝ちました。彼はデッキに火力呪文をたくさん残していたのです。
 続く試合はエスパーコントロールのミラーマッチでした。この時、サイド後は対処が難しく《思考を築く者、ジェイス》にプレッシャーを掛けられる《万神殿の兵士》をサイドインしてみました。しかしダメージクロックとしては貧弱であり、サイドインするに値するほどではありませんでした。サイドカードとしての役割はハンデス呪文で十分でした。何はともあれ、このマッチも勝利することができました。
 その次は緑単とのマッチアップでした。2ゲーム目を《レインジャーの悪知恵》をケアしていなかったために落としてしまいましたが、それをあらかじめ予測しえたかというと疑問です。
 それからオロスコントロールと対戦しました。この試合はとてもリラックスして臨めました。
 最終戦はセレズニアで、《万神殿の兵士》と《太陽の勇者、エルズペス》が大活躍してくれました。1-2スタートから6-2にまで持ち直せて一安心です。ちなみにこの時、MTG MadnessのFernandoからチームへの加入を打診されました。夕食を少しだけ食べてから、すぐに眠りにつきました。

 2ndドラフトは1stドラフトに比べればはるかに成功したといえるでしょう。最初に開封したパックには黒と青のカードは見る影もありませんでしたので、デッキは最終的に白緑にまとまりました。ドラフト中に、私は最低でも2回ピックを失敗しました。1~2枚ほどカードが足らず、《戦士の教訓》をデッキに入れざるを得なかったのです。正直、今回のデッキが強いのかどうかはわかりませんが、最初のマッチを接戦の末に勝利し残りのマッチでは相手のデッキがこちらより弱いこともあって勝利するなど、運には恵まれていたのでしょう。

 再び構築戦に戻ります。ここでまたエスパーとマッチアップされました。Game 1では対戦相手が土地事故を起こしたところに《思考囲い》がうまく刺さって私が勝利しました。Game2では私が若干マナフラッド気味になり、対戦相手が《思考囲い》で安全確認を済ませてから《霊異種》を唱えてゲームオーバーでした。勝負は3本目に移ります。私は6ターン目に、手札に《否認》と《解消》がある状況で《罪の収集者》を唱えました。彼はこの《罪の収集者》を《解消》し、その返しに《思考囲い》を唱えてきたのです。この時私はこれをスルーしてしまったのですが、ふと嫌な予感がしました。もしかして《解消》を捨てさせ、そして《霊異種》を出してくるのではないかと。そしてそれは的中してしまったのです。もし私が《思考囲い》を《否認》していたら、きっと彼は代わりにプレーンズウォーカーを唱えることしかできなかったでしょうし、私は《英雄の破滅》でそれを対処することができたはずです。私はその時、自身の《霊異種》を抱えていなかったのですが、十分な手札とマナがあったので《スフィンクスの啓示》と除去呪文で《霊異種》の攻撃を凌ぎきることができました。
 その後ナヤと対戦しました。1ゲーム目は相手が白マナを用意できなかったので、あっさり勝利しました。2ゲーム目と3ゲーム目は非常に長いゲームになり、プレーンズウォーカーを巡る攻防が続きました。しかしこちらの《太陽の勇者、エルズペス》と《スフィンクスの啓示》が強く、試合に勝つことができました。2ゲーム目では《万神殿の兵士》をサイドインしましたが、《紅蓮の達人チャンドラ》がデッキに入っているのを確認したので3ゲーム目ではサイドアウトしました。
 次はJeremyとの試合でした。ここで1ゲーム目を落としてしまいました。確信はありませんし、どこをどう失敗したのかわからないのですが、おそらく何かしらのミスを犯したのだと思います。2ゲーム目では、彼の《霊異種》が登場するのを許してしまいました。その一方で、その時私には土地が5枚しかありませんでした。しかし私は、結局《霊異種》を倒すことなく何とかゲームを取り返すことができました。
 これは非常に面白い話です。なぜなら、エスパー用のサイドカードとして《霊異種》が強いのかどうかという話について、私たちのチーム内でも激しく議論が交わされたからです。Pierreの指摘によれば、青単信心にとって《霊異種》は重過ぎるカードだそうです。私も彼の意見に賛成です。《雲ヒレの猛禽》を抜いて《霊異種》を入れるというのは間違いではないでしょうか?もしそうしてしまうと、《思考を築く者、ジェイス》や《タッサの二叉槍》などドロー補助のおかげで勝つこともありますが、そうはいかない場合も出てくるでしょう。たとえ《海の神、タッサ》というフィルターを通してもマナフラッドすることがあり、対戦相手にプレッシャーを掛けるリソースがないからです。さらに言えば、コントロール同系対決の時と違って、エスパーが青単相手に除去を減らしてくるはずがないからです。たとえ1マナを立たせて《霊異種》を唱えたとしても、相手が2枚の除去を手札に持っていたらおしまいです。Pierreは(5マナの方の)ジェイスを気に入っていたので、私もそれでいいだろうと思いました。これが絶対に正しかったとは言いませんが、理屈の上では筋が通っています。ところで私とJeremyの試合ですが、引き分けに終わりました。
 次の試合では三原 槙仁と対戦し、1ゲーム目をこちらがまず勝ちまして、2ゲーム目で彼はマナスクリューしてしまったので私の勝利となりました。最終ラウンドをIDして、これでTop 8入賞が確定しました。

 その日の夜はチームメイトやMTG Madnessの人たちと夕食を楽しみました。その翌朝、私は準々決勝で敗退してしまったのですが、正直言ってがっかりしました。特に第1ゲームが悔やまれます。2ターン目に《思考囲い》でPierreの手札を確認した時、《タッサの二叉槍》を落とさなかったことが敗着でした。今回の結果に必ずしも満足しているというわけではなく、少しばかり残念です。しかしPierreとJeremyの強烈なパフォーマンスに対しては、心からお祝いしたいと思います。Team Revolutionのメンバーや地元で練習に付き合ってくれた人たちには、感謝の意を表したいと思います。

 Guillaume Wafo-Tapa

コメント

hrym
2013年10月24日16:56

> 優先して削るべきは、占術ランドよりもショックランドだとすぐにわかりました。

削ってねえじゃねえか!

万神殿弱かったようにしか見えない。
赤単に全然あたってないのね。

おつです。

shitsucho
2013年10月24日17:04

大変参考になりました!!
翻訳お疲れ様です。
リンクさせていただきますm(__)m

みやじ~
2013年10月24日18:14

参考になりました。
勝手ながらリンクさせて頂きます。

のす
2013年10月25日0:28

翻訳お疲れ様です。wafo-tapaのレポが一番読みたかったので、大変嬉しゅうございます。

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