Hydroblasting Pro Tour Theros
2013年10月17日 TCG全般 コメント (3)http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=11438
私は今回のプロツアーテーロスの結果にこの上なく満足しています。私個人の成績はそこまで振るいませんでしたが(マネーフィニッシュまであと1勝でした)、その一方で、Team Revolutionは最高のパフォーマンスを披露しました。チームメイトの3人、つまりJeremy Dezani、Pierre Dagen、そしてGuillaume Wafo-Tapaがtop8に残り、しかもJeremyとPierreは決勝戦に進出しました。チームメイト13人中12人が2日目に進出とほぼ100%近い数字を叩き出し、そのうち60%以上がマネーフィニッシュでした。
どうしてここまで成功したのでしょうか?理由は簡単で、私たちが最高のデッキを大会に持ち込み、メタゲームを正確に予測し、分の悪いマッチアップに対して優れたサイドボードを用意できたからです。この記事ではどうして私たちが青単色デッキに注目し、どのように調整し、どうやって最終的なリストに至ったかを解説しようと思います。
何故青単なのでしょうか?
最初期のリストはこのようなものでした。
4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》
3 《タッサの二叉槍》
3 《分散》
20 《島》
4 《変わり谷》
最初にこの青単色デッキを見た時、私には冗談を言っているようにしか見えませんでした。《審判官の使い魔》!?《凍結燃焼の奇魔》!? 他にも《潮縛りの魔道士》のように用途の狭いカードや、他のビートダウンデッキと比べて線の細いクリーチャーばかりで、まさに紙束です。《タッサの二叉槍》だけは面白そうで、メルカディアンマスクスがスタンダード環境にあった頃のデッキに入っていた《沿岸の海賊行為》を思い出しました。つまり《リシャーダの飛行船》、《トゲ尾の雛》、《厄介なスピリット》のような飛行クリーチャーを《妨害》や《撃退》のようなピッチカウンターで守るデッキのことです。それはさておき、現在のようにパワフルなクリーチャーがひしめくスタンダード環境で、青単デッキが活躍するとはとても思えませんでした。
しかし実際にデッキがどう動くのかを見てみたところ、私たちが用意したデッキの中で最高のマナカーブを描くことが分かりました。《雲ヒレの猛禽》、《潮縛りの魔道士》、《夜帷の死霊》、《タッサの二叉槍》という動きはまさに勝利の方程式ですし、《海の神、タッサ》はブロックされない脅威で、しかも《拘留の宝球》以外では対処できません。占術のおかげで、クリーチャー化に対する信心の要求も簡単に達成できます。《波使い》はばかげた強さのカードで、トークンの群れとプロテクションのおかげで、ほとんどの除去やクリーチャーに耐性が付きます。
この時、このデッキは強いと私は確信しました。緑を中心にしたアグロデッキとのマッチアップはByeをもらうようなもので、しかもプロツアーにはそういったデッキが多数存在すると予想されます。問題はコントロールデッキとの対戦で、その場合は大体負けてしまいます。
《海の神、タッサ》といえども、信心が足らなければ弱くなります。エスパーコントロールなどとの試合では、除去を連打されてしまい簡単に信心は足りなくなります。1枚の《至高の評決》で戦場は壊滅してしまい、たとえ毎ターンの占術をもってしても早期に回復することは困難でしょう。エスパーとの対戦を長期化させるのはまずく、仮にそれを許してしまうと巨大な《スフィンクスの啓示》を唱えられてゲームオーバーです。《霊異種》でも同じです。
エスパー相手に敗色濃厚なデッキなんて選択したくありません。エスパーはプロツアードラゴンの迷路では最高のデッキだったので、多くのプレーヤーが今回のプロツアーでもそれを使ってくると予想していました。たとえそれがベストな選択でなかったとしても、です(Wafo-Tapaがまさにいい例です)。私たちは改善のために試行錯誤を始めました。
まず全員が同じ手法に辿り着きました。デッキを青黒にして《思考囲い》などをデッキに入れるというものです。《湿った墓》と《欺瞞の神殿》を4枚ずつ入れれば《破滅の刃》や《遠隔+不在》もデッキに入りうる良い選択肢になります。早速《思考囲い》がメインボードに4枚入ったデッキを用意して、エスパーコントロールと再び対戦してみました。
しかし残念なことに、《思考囲い》は私たちが求めていたような働きはしてくれませんでした。最大のガンは《至高の評決》なのですが、もしエスパー側がそれを手札に抱えていなければ《思考囲い》は有用性が極めて低いものになります。仮に3枚の単体除去がある手札から1枚の《破滅の刃》を捨てさせたところで、それが一体何だというのでしょうか。サイドボード後に《強迫》を追加してみても大して相性が改善されるわけでもなく、結局《至高の評決》か《スフィンクスの啓示》を捨てさせられるときに限り、ハンデス戦略は有効だったのです。
さらに悪いことに、特殊土地を加えたことでアグロデッキとの相性も悪くなってしまいました。《湿った墓》からの2点ダメージや、《欺瞞の寺院》のタップインによるテンポロスの影響です。こうなってしまうと、もはや黒タッチはあきらめざるを得ません。
こうして単色に戻ることになりました。クリーチャーデッキに対して圧倒的に強いデッキを抱えていながら、唯一勝てないのがエスパーなのです。つまりこの点を解決できれば、このデッキこそがまさにプロツアーで使用するべきデッキとなります。エスパーに勝てない主な原因は、こちらのクリーチャーが高確率で除去され、《海の神、タッサ》がほとんどの場合にただ毎ターン占術ができるというだけの3マナのエンチャントに成り下がるところにあります。戦場にクリーチャーを残すのは難しいということで、青の信心を稼ぎやすい他のパーマネントを用意することにしました。《タッサの二叉槍》はまさにその一例ですが、しかしこれはクリーチャーの有無に大きく依存します。そんな折、James Searlesによって「《思考を築く者、ジェイス》はどうか?」という意見が出されました。
《思考を築く者、ジェイス》こそ、このデッキに足りてなかったカードそのものでした。プレインズウォーカーは直接の対処がクリーチャーよりも難しい分戦場に残りやすく、《海の神、タッサ》はクリーチャーの状態を維持できます。また《思考を築く者、ジェイス》は《困惑の石》効果(-1/-0修正)で戦闘から自身を守ることもできます。さらに《思考を築く者、ジェイス》はエスパーとの対戦で重要となるカードアドバンテージを供給してくれます。エスパー側にとってこれを除去する手段は限られ、しかも戦闘で破壊というのはまず不可能です。《思考を築く者、ジェイス》は、対エスパーのマッチアップでは最高のカードになるのです。
《記憶の熟達者、ジェイス》に関しても同様に検討しました。《思考を築く者、ジェイス》ほどではありませんが、こちらもエスパーにとってJaceという脅威に変わりありません。《記憶の熟達者、ジェイス》の問題点を挙げるとすれば、コントロールデッキのミラーマッチと異なり、それが緊急性の高い脅威になりえないことです。10枚のライブラリーを削るだけでは不十分で、+0能力で相手を倒すには3~4回の起動が必要となります。つまりそれだけのターンを相手に与えるわけですが、エスパーにとってそれは回答に辿り着くには十分すぎる時間です。+1能力を数回使う方がまだマシですが、追加で1枚のカードを引いていてもエスパーを倒すことはできません。
木曜日の夜に参加登録を終えた後、ホテルに戻ってみると、Raphael Levyが《記憶の熟達者、ジェイス》の代わりに《霊異種》を2枚サイドボードに仕込むと言い出しました。土地が24枚しか入っていないデッキに《霊異種》を入れるなんて、私には信じられません。青マナを1つ立たせて《霊異種》を唱えることになるので、これはマナコストが7のクリーチャーなのです。そのため私は1枚に抑えるようにしたのですが、それは2枚になりました。というのもLevyの言い分が合理的で、考えれば考えるほどそれが正解ではないかと感じるようになったのです。
私たちの青単デッキは高速ビートダウンであるため、エスパー側は毎ターン除去を連打して《海の神、タッサ》を活用させないようにしなければなりません。とはいえ除去は割と簡単に尽きるものです。それを狙って私たちは《否認》をサイドボードに取ることで、《スフィンクスの啓示》など鍵となる呪文を打ち消せるようにしました。ちなみに、いざという時のために《破滅の刃》を回避することもできます。これで相手は常に脅威に晒されることになります。もしフルタップで《霊異種》を出しても、ちょうど相手は除去呪文を切らしているかもしれません。《アゾリウスの魔除け》のように《霊異種》に対して無力なカードを抱えているかもしれません。序盤にある程度のダメージを与えておけば、あとは《霊異種》で1~2回殴るだけでゲームは終わりです。
《霊異種》を採用するにあたって、サイドボードに追加の土地を入れることにしました。こういう考え方は私の好みでもあります。元々《変わり谷》がコントロール以外とのマッチアップでそれほど強くないことと、そのせいで呪文が台無しになることがありました。3ターン目にUUUを用意できなかったり、4ターン目や5ターン目にUUのカードを2枚唱えられないのです。こういう事情から《変わり谷》をメインボードに4枚入れておくのは難しいと判断してサイドボードに1枚を落とし、追加の《島》としてサイドインできるようにしました。
この青単信心デッキではデッキの中の多くのカードを見ることができます。《思考を築く者、ジェイス》と複数の占術の恩恵を受け、《霊異種》を引き当てるまでにゲームを十分にコントロールできるでしょう。《霊異種》を2枚取ることには別のメリットもあります。仮に《思考を築く者、ジェイス》の能力で《霊異種》が捲れた場合、相手はまず間違いなくそれと他2枚の山に分けるでしょう。そして相手はこちらのデッキに《霊異種》が1枚しか入っていないと考えるはずです。是非とも2枚の方の山を手札に加え、喜んで《霊異種》をライブラリーの底に送りましょう。相手はもう二度と《霊異種》に遭遇しないと勘違いしているでしょうから、そこで2枚目の《霊異種》を送り出して驚かせてあげましょう。夜が明けるまでに、《霊異種》の枚数は2に決まりました。
結局チームメイトのほとんどが《霊異種》をサイドに2枚取ることにしましたが、それでも何人かは《記憶の熟達者、ジェイス》を主張していました。Pierre Dagenはアンチ《霊異種》派のひとりです。ちょうど私が最初に感じていた理由と同じで、土地が5枚しかない内にそれを引いてしまうことを嫌っていたのです。一方でJeremy Dezaniは《霊異種》プランを選択することにしました。
木曜日の夜にトーナメントで試してみた結果、デッキはとても好感触でした。強力かつ有望なデッキを完成させることができ、最悪だったマッチアップの問題も解決することができました。以下が今回のプロツアーで使用したリストです。
4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》
2 《思考を築く者、ジェイス》
1 《タッサの二叉槍》
2 《サイクロンの裂け目》
1 《急速混成》
21 《島》
3 《変わり谷》
2 《霊異種》
2 《思考を築く者、ジェイス》
1 《変わり谷》
3 《否認》
1 《真髄の針》
2 《漸増爆弾》
1 《トリトンの戦術》
3 《霜の壁》
ホテルに備え付けらえていた観光客カードの絵柄がかわいかったので、そこからこのデッキを「Sea Life」と名付けました。
御覧のように、最初に組んだ時のリストからほとんど変化がありません。《分散》はほぼ上位互換の《サイクロンの裂け目》に取って代わりました。バウンス呪文をデッキに入れたくなることは滅多にないのですが、超過でも唱えられるという選択肢はとても魅力的です。さらに《急速混成》についても1枚だけ入れることにしました。このカードはとても強力で、2枚目を入れようかと悩んだくらいです。《急速混成》はたった1マナでどんなクリーチャーでも倒すことができます。3/3の蛙トカゲが残ってしまいますが、それは大した脅威ではありませんし、《潮縛りの魔道士》で寝かせることもできます。またこちら側のクリーチャーを3/3にすることもできます。対戦相手の除去呪文に対応して唱えたり、サイズの小さいクリーチャーを強化したり、コンバットトリックとして《雲ヒレの猛禽》を進化させたり、《海の神、タッサ》を対象に唱えて3/3を戦場に追加したり、など使い方は様々です。
《思考を築く者、ジェイス》の枠を用意するために《タッサの二叉槍》を減らしました。このようなことは言いたくないのですが、《タッサの二叉槍》はこのデッキの中で最も弱いカードのひとつです。もし《タッサの二叉槍》が輝く状況があるとすれば、それは別のカードであってもいいような時でしょうし、もし腐るような状況ならそれはもうゲームオーバーです。《至高の評決》を打たれた返しのトップデッキは最悪な例ですし、《海の神、タッサ》がいない時に相手の側にこちらよりも優秀なクリーチャーが並んでいたら無用の長物になります。しかしそれでも、たまにこのカードは大活躍してくれることもあるので、1枚だけデッキに忍ばせています。これは実際にプロツアーで、私が青白コントロールとマッチアップされていた時の話なのですが、私は《波使い》とそのトークンを含めた大量のクリーチャーをコントロールしていました。「次のターンあたりに《至高の評決》を打たれそうだな…」と思っていたところで《タッサの二叉槍》をトップデッキしました。即座にそれを叩きつけて攻撃し、6枚のカードを引くことができました。予想通りその返しに《至高の評決》が飛んできて戦場は壊滅したのですが、その直前に引き増したカードのおかげで難なくそのゲームを勝つことができました。ちなみにこれが今大会を通して《タッサの二叉槍》でドローできた唯一の機会です。結局、このカードができることは大したものではなく、《思考を築く者、ジェイス》の方が優れている場合がほとんどです。
対コントロール戦(エスパー、青白、トリコ、オロスなど)では、以下のようなサイドボーディングをします。
+1《変わり谷》、+2《霊異種》、+3《否認》、+2《思考を築く者、ジェイス》
-4《雲ヒレの猛禽》、-2《波使い》、-1《タッサの二叉槍》、-1《急速混成》
当然ですが、どんなデッキと対戦しているかによって多少の変更はあります。《波使い》は簡単に除去されてしまうのでコントロールとの対戦ではあまり強くありませんが、除去を火力に頼っているトリココントロールは例外になりえます。《幽霊議員オブゼダート》が入っているオロスコントロールとの試合では《急速混成》が欲しくなります。ここに示したのは基本となる大雑把なプランであって、その都度適切なin/outを判断していく必要があります。多くの場合、基本的には《雲ヒレの猛禽》と《タッサの二叉槍》を抜いて、あとは相手がどんな除去をどれだけ持っているか次第です。もしかしたら《審判官の使い魔》もサイドアウトの候補になるかもしれません。
いずれにせよ、このサイドボーディグプランは素晴らしいものだと考えています。プロツアーで私が対戦した青白、エスパー、オロスに対して、いずれのマッチでも第1ゲームは負けましたが、残りの第2,第3ゲームを取り返すことができました。《霊異種》はまさに驚異的な強さでした。25枚もの土地のおかげで、7ターン連続で土地をセットし、《霊異種》を叩きつけて、そのまま勝利できたのです。
残りのサイドボードについて、《真髄の針》以外はどれも気に入っています。《真髄の針》は《歓楽者ゼナゴス》《世界を喰らう者、ポルクラノス》《ドムリ・ラーデ》に対処するために採用しました。本番のプロツアーでは、私は1回だけこれを使う機会がありました。その時は青黒コントロールと対戦していて、《悪夢の織り手、アショク》を指定しました。第1ゲームで《悪夢の織り手、アショク》でこちらの《波使い》を奪われ、4体のトークンを出されて負けていたためです。このゲームでは《真髄の針》は確かに相手の《悪夢の織り手、アショク》を封じてくれましたが、今度は相手が自身の《波使い》を唱えてきたのです!これを捌き切ることができず、結局そのマッチを落としてしまいました。《真髄の針》である別のカードを対処しようとデッキに入れたとしても、それが毎回盤面に影響を与えるとは限りません。そういうやり方が嫌いということもあって、《真髄の針》はデッキに入れるべきではなかったと思います。
《霜の壁》は非常に強力で、青い信心を2つも稼いでくれるばかりでなく、ほぼ全てのクリーチャーの攻撃を受け止めることができます。ブロックされたクリーチャーは次のターンにアンタップしなくなるので、対戦相手は複数のクリーチャーをコントロールしない限り攻撃しなくなります。もしあなたが《思考を築く者、ジェイス》の+1能力を使い始めたら、もはや相手は攻撃することがほとんど無意味になります。
《漸増爆弾》はセレズニアのトークンを流したり、このデッキの天敵である《霧裂きのハイドラ》を除去するためのカードです。当たり前ですが、プロテクション(青)はこのデッキにとってどうしようもありません。私たちの調整では、《霧裂きのハイドラ》はコントロールとの試合で非常に強力なサイドボードになると想定していたのですが、実際にプロツアーで見た《霧裂きのハイドラ》は当初の予想よりも少なかったです。対セレズニアのみを目的とする《漸増爆弾》は必要なく、プロツアーテーロスのメタゲームでは《霧裂きのハイドラ》はそれほど見かけなかったので、今回はデッキに必要なかったかもしれません。しかしながら、《漸増爆弾》が《霧裂きのハイドラ》に対処できる唯一の方法であることは変わりません。
《トリトンの戦術》はサイドボードの中では最も興味深いカードに映るでしょう。主な用途は《神々の憤怒》や超過《ミジウムの迫撃砲》を無効化することです。結局プロツアー中に一度もプレイすることはありませんでしたが、赤系デッキとの対戦の時にもし引けていたなら、きっと大活躍していたはずです。このカードは他にももっと多様な使い道が考えられます。唱えた時には、きっと対戦相手は驚くことでしょう。
プロツアーでここまで青単デッキが台頭するとは正直私たちは予想しておらず、サイドボードを用意していませんでした。青単デッキを選択する唯一のチームではないかとすら思っていましたが、実際はそうではありませんでした。Team SCGでは10人のプレーヤーが青単を選択していますし、スウェーデンのチームもまた青単をプレイしていました。間違いなく青単はプロツアーで最高のデッキであり、誰もこうなることを予想できなかったでしょう。そして実際に、青単は環境を席巻します。
今後青単はtier1に数えられることになるでしょう。私たちの場合、ミラーマッチ用には1枚もサイドボードを用意しませんでしたが、今後は必要になるでしょう。既にいくつか候補は用意しています。もちろん《反論》のように分かりやすいものでも大丈夫ですが、もう少しメジャーではない選択肢もあります。
1つ目は《閉所恐怖症》です。これは1体のクリーチャーしか対処できないので《波使い》に対して無力であり、対青単に限ればそこそこのカードでしかありませんが、他のクリーチャーデッキ相手にもサイドインすることができます。2つの青の信心を増やしながら、様々なクリーチャーへの対処が可能です。
もう1つのお勧めは《家畜化》です。このカードは相手の《夜帷の死霊》を奪えるなどミラーマッチで大変強力ですが、最も活躍するのは《波使い》を奪った時です。相手の《波使い》を《家畜化》できれば、トークンを一掃した上に信心を3つも増やすことができます。さらにはこちらが《波使い》を唱えた時、そのトークン達はさらに強化され、倒すことが難しくなるでしょう。
ここまでをまとめると以下のように改良できます。
4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》
3 《思考を築く者、ジェイス》
2 《サイクロンの裂け目》
1 《急速混成》
21 《島》
3 《変わり谷》
2 《霊異種》
1 《閉所恐怖症》
2 《家畜化》
1 《反論》
1 《思考を築く者、ジェイス》
1 《変わり谷》
2 《否認》
2 《漸増爆弾》
1 《トリトンの戦術》
2 《霜の壁》
《思考を築く者、ジェイス》はこのデッキのおける最高のカードの一つですので、3枚目をメインボードに移して、逆に弱く感じていた《タッサの二叉槍》を抜きました。サイドボードの枠に余裕が生まれたので、そこに対ミラーマッチ用のカードを用意しました。
本当はもう少しこのデッキのプレイについて解説したいところなのですが、続きはチームメイトのRaphael Levyに譲ろうと思います。今週中には彼の青単デッキに関する記事が公開されると思うので、そちらも御覧になって下さい。
次回のビッグイベントはコロンバスで開催されるTCGplayer Invitationalになります。会場で私を見かけた方は、遠慮なく声をかけて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私は今回のプロツアーテーロスの結果にこの上なく満足しています。私個人の成績はそこまで振るいませんでしたが(マネーフィニッシュまであと1勝でした)、その一方で、Team Revolutionは最高のパフォーマンスを披露しました。チームメイトの3人、つまりJeremy Dezani、Pierre Dagen、そしてGuillaume Wafo-Tapaがtop8に残り、しかもJeremyとPierreは決勝戦に進出しました。チームメイト13人中12人が2日目に進出とほぼ100%近い数字を叩き出し、そのうち60%以上がマネーフィニッシュでした。
どうしてここまで成功したのでしょうか?理由は簡単で、私たちが最高のデッキを大会に持ち込み、メタゲームを正確に予測し、分の悪いマッチアップに対して優れたサイドボードを用意できたからです。この記事ではどうして私たちが青単色デッキに注目し、どのように調整し、どうやって最終的なリストに至ったかを解説しようと思います。
何故青単なのでしょうか?
最初期のリストはこのようなものでした。
4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》
3 《タッサの二叉槍》
3 《分散》
20 《島》
4 《変わり谷》
最初にこの青単色デッキを見た時、私には冗談を言っているようにしか見えませんでした。《審判官の使い魔》!?《凍結燃焼の奇魔》!? 他にも《潮縛りの魔道士》のように用途の狭いカードや、他のビートダウンデッキと比べて線の細いクリーチャーばかりで、まさに紙束です。《タッサの二叉槍》だけは面白そうで、メルカディアンマスクスがスタンダード環境にあった頃のデッキに入っていた《沿岸の海賊行為》を思い出しました。つまり《リシャーダの飛行船》、《トゲ尾の雛》、《厄介なスピリット》のような飛行クリーチャーを《妨害》や《撃退》のようなピッチカウンターで守るデッキのことです。それはさておき、現在のようにパワフルなクリーチャーがひしめくスタンダード環境で、青単デッキが活躍するとはとても思えませんでした。
しかし実際にデッキがどう動くのかを見てみたところ、私たちが用意したデッキの中で最高のマナカーブを描くことが分かりました。《雲ヒレの猛禽》、《潮縛りの魔道士》、《夜帷の死霊》、《タッサの二叉槍》という動きはまさに勝利の方程式ですし、《海の神、タッサ》はブロックされない脅威で、しかも《拘留の宝球》以外では対処できません。占術のおかげで、クリーチャー化に対する信心の要求も簡単に達成できます。《波使い》はばかげた強さのカードで、トークンの群れとプロテクションのおかげで、ほとんどの除去やクリーチャーに耐性が付きます。
この時、このデッキは強いと私は確信しました。緑を中心にしたアグロデッキとのマッチアップはByeをもらうようなもので、しかもプロツアーにはそういったデッキが多数存在すると予想されます。問題はコントロールデッキとの対戦で、その場合は大体負けてしまいます。
《海の神、タッサ》といえども、信心が足らなければ弱くなります。エスパーコントロールなどとの試合では、除去を連打されてしまい簡単に信心は足りなくなります。1枚の《至高の評決》で戦場は壊滅してしまい、たとえ毎ターンの占術をもってしても早期に回復することは困難でしょう。エスパーとの対戦を長期化させるのはまずく、仮にそれを許してしまうと巨大な《スフィンクスの啓示》を唱えられてゲームオーバーです。《霊異種》でも同じです。
エスパー相手に敗色濃厚なデッキなんて選択したくありません。エスパーはプロツアードラゴンの迷路では最高のデッキだったので、多くのプレーヤーが今回のプロツアーでもそれを使ってくると予想していました。たとえそれがベストな選択でなかったとしても、です(Wafo-Tapaがまさにいい例です)。私たちは改善のために試行錯誤を始めました。
まず全員が同じ手法に辿り着きました。デッキを青黒にして《思考囲い》などをデッキに入れるというものです。《湿った墓》と《欺瞞の神殿》を4枚ずつ入れれば《破滅の刃》や《遠隔+不在》もデッキに入りうる良い選択肢になります。早速《思考囲い》がメインボードに4枚入ったデッキを用意して、エスパーコントロールと再び対戦してみました。
しかし残念なことに、《思考囲い》は私たちが求めていたような働きはしてくれませんでした。最大のガンは《至高の評決》なのですが、もしエスパー側がそれを手札に抱えていなければ《思考囲い》は有用性が極めて低いものになります。仮に3枚の単体除去がある手札から1枚の《破滅の刃》を捨てさせたところで、それが一体何だというのでしょうか。サイドボード後に《強迫》を追加してみても大して相性が改善されるわけでもなく、結局《至高の評決》か《スフィンクスの啓示》を捨てさせられるときに限り、ハンデス戦略は有効だったのです。
さらに悪いことに、特殊土地を加えたことでアグロデッキとの相性も悪くなってしまいました。《湿った墓》からの2点ダメージや、《欺瞞の寺院》のタップインによるテンポロスの影響です。こうなってしまうと、もはや黒タッチはあきらめざるを得ません。
こうして単色に戻ることになりました。クリーチャーデッキに対して圧倒的に強いデッキを抱えていながら、唯一勝てないのがエスパーなのです。つまりこの点を解決できれば、このデッキこそがまさにプロツアーで使用するべきデッキとなります。エスパーに勝てない主な原因は、こちらのクリーチャーが高確率で除去され、《海の神、タッサ》がほとんどの場合にただ毎ターン占術ができるというだけの3マナのエンチャントに成り下がるところにあります。戦場にクリーチャーを残すのは難しいということで、青の信心を稼ぎやすい他のパーマネントを用意することにしました。《タッサの二叉槍》はまさにその一例ですが、しかしこれはクリーチャーの有無に大きく依存します。そんな折、James Searlesによって「《思考を築く者、ジェイス》はどうか?」という意見が出されました。
《思考を築く者、ジェイス》こそ、このデッキに足りてなかったカードそのものでした。プレインズウォーカーは直接の対処がクリーチャーよりも難しい分戦場に残りやすく、《海の神、タッサ》はクリーチャーの状態を維持できます。また《思考を築く者、ジェイス》は《困惑の石》効果(-1/-0修正)で戦闘から自身を守ることもできます。さらに《思考を築く者、ジェイス》はエスパーとの対戦で重要となるカードアドバンテージを供給してくれます。エスパー側にとってこれを除去する手段は限られ、しかも戦闘で破壊というのはまず不可能です。《思考を築く者、ジェイス》は、対エスパーのマッチアップでは最高のカードになるのです。
《記憶の熟達者、ジェイス》に関しても同様に検討しました。《思考を築く者、ジェイス》ほどではありませんが、こちらもエスパーにとってJaceという脅威に変わりありません。《記憶の熟達者、ジェイス》の問題点を挙げるとすれば、コントロールデッキのミラーマッチと異なり、それが緊急性の高い脅威になりえないことです。10枚のライブラリーを削るだけでは不十分で、+0能力で相手を倒すには3~4回の起動が必要となります。つまりそれだけのターンを相手に与えるわけですが、エスパーにとってそれは回答に辿り着くには十分すぎる時間です。+1能力を数回使う方がまだマシですが、追加で1枚のカードを引いていてもエスパーを倒すことはできません。
木曜日の夜に参加登録を終えた後、ホテルに戻ってみると、Raphael Levyが《記憶の熟達者、ジェイス》の代わりに《霊異種》を2枚サイドボードに仕込むと言い出しました。土地が24枚しか入っていないデッキに《霊異種》を入れるなんて、私には信じられません。青マナを1つ立たせて《霊異種》を唱えることになるので、これはマナコストが7のクリーチャーなのです。そのため私は1枚に抑えるようにしたのですが、それは2枚になりました。というのもLevyの言い分が合理的で、考えれば考えるほどそれが正解ではないかと感じるようになったのです。
私たちの青単デッキは高速ビートダウンであるため、エスパー側は毎ターン除去を連打して《海の神、タッサ》を活用させないようにしなければなりません。とはいえ除去は割と簡単に尽きるものです。それを狙って私たちは《否認》をサイドボードに取ることで、《スフィンクスの啓示》など鍵となる呪文を打ち消せるようにしました。ちなみに、いざという時のために《破滅の刃》を回避することもできます。これで相手は常に脅威に晒されることになります。もしフルタップで《霊異種》を出しても、ちょうど相手は除去呪文を切らしているかもしれません。《アゾリウスの魔除け》のように《霊異種》に対して無力なカードを抱えているかもしれません。序盤にある程度のダメージを与えておけば、あとは《霊異種》で1~2回殴るだけでゲームは終わりです。
《霊異種》を採用するにあたって、サイドボードに追加の土地を入れることにしました。こういう考え方は私の好みでもあります。元々《変わり谷》がコントロール以外とのマッチアップでそれほど強くないことと、そのせいで呪文が台無しになることがありました。3ターン目にUUUを用意できなかったり、4ターン目や5ターン目にUUのカードを2枚唱えられないのです。こういう事情から《変わり谷》をメインボードに4枚入れておくのは難しいと判断してサイドボードに1枚を落とし、追加の《島》としてサイドインできるようにしました。
この青単信心デッキではデッキの中の多くのカードを見ることができます。《思考を築く者、ジェイス》と複数の占術の恩恵を受け、《霊異種》を引き当てるまでにゲームを十分にコントロールできるでしょう。《霊異種》を2枚取ることには別のメリットもあります。仮に《思考を築く者、ジェイス》の能力で《霊異種》が捲れた場合、相手はまず間違いなくそれと他2枚の山に分けるでしょう。そして相手はこちらのデッキに《霊異種》が1枚しか入っていないと考えるはずです。是非とも2枚の方の山を手札に加え、喜んで《霊異種》をライブラリーの底に送りましょう。相手はもう二度と《霊異種》に遭遇しないと勘違いしているでしょうから、そこで2枚目の《霊異種》を送り出して驚かせてあげましょう。夜が明けるまでに、《霊異種》の枚数は2に決まりました。
結局チームメイトのほとんどが《霊異種》をサイドに2枚取ることにしましたが、それでも何人かは《記憶の熟達者、ジェイス》を主張していました。Pierre Dagenはアンチ《霊異種》派のひとりです。ちょうど私が最初に感じていた理由と同じで、土地が5枚しかない内にそれを引いてしまうことを嫌っていたのです。一方でJeremy Dezaniは《霊異種》プランを選択することにしました。
木曜日の夜にトーナメントで試してみた結果、デッキはとても好感触でした。強力かつ有望なデッキを完成させることができ、最悪だったマッチアップの問題も解決することができました。以下が今回のプロツアーで使用したリストです。
4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》
2 《思考を築く者、ジェイス》
1 《タッサの二叉槍》
2 《サイクロンの裂け目》
1 《急速混成》
21 《島》
3 《変わり谷》
2 《霊異種》
2 《思考を築く者、ジェイス》
1 《変わり谷》
3 《否認》
1 《真髄の針》
2 《漸増爆弾》
1 《トリトンの戦術》
3 《霜の壁》
ホテルに備え付けらえていた観光客カードの絵柄がかわいかったので、そこからこのデッキを「Sea Life」と名付けました。
御覧のように、最初に組んだ時のリストからほとんど変化がありません。《分散》はほぼ上位互換の《サイクロンの裂け目》に取って代わりました。バウンス呪文をデッキに入れたくなることは滅多にないのですが、超過でも唱えられるという選択肢はとても魅力的です。さらに《急速混成》についても1枚だけ入れることにしました。このカードはとても強力で、2枚目を入れようかと悩んだくらいです。《急速混成》はたった1マナでどんなクリーチャーでも倒すことができます。3/3の蛙トカゲが残ってしまいますが、それは大した脅威ではありませんし、《潮縛りの魔道士》で寝かせることもできます。またこちら側のクリーチャーを3/3にすることもできます。対戦相手の除去呪文に対応して唱えたり、サイズの小さいクリーチャーを強化したり、コンバットトリックとして《雲ヒレの猛禽》を進化させたり、《海の神、タッサ》を対象に唱えて3/3を戦場に追加したり、など使い方は様々です。
《思考を築く者、ジェイス》の枠を用意するために《タッサの二叉槍》を減らしました。このようなことは言いたくないのですが、《タッサの二叉槍》はこのデッキの中で最も弱いカードのひとつです。もし《タッサの二叉槍》が輝く状況があるとすれば、それは別のカードであってもいいような時でしょうし、もし腐るような状況ならそれはもうゲームオーバーです。《至高の評決》を打たれた返しのトップデッキは最悪な例ですし、《海の神、タッサ》がいない時に相手の側にこちらよりも優秀なクリーチャーが並んでいたら無用の長物になります。しかしそれでも、たまにこのカードは大活躍してくれることもあるので、1枚だけデッキに忍ばせています。これは実際にプロツアーで、私が青白コントロールとマッチアップされていた時の話なのですが、私は《波使い》とそのトークンを含めた大量のクリーチャーをコントロールしていました。「次のターンあたりに《至高の評決》を打たれそうだな…」と思っていたところで《タッサの二叉槍》をトップデッキしました。即座にそれを叩きつけて攻撃し、6枚のカードを引くことができました。予想通りその返しに《至高の評決》が飛んできて戦場は壊滅したのですが、その直前に引き増したカードのおかげで難なくそのゲームを勝つことができました。ちなみにこれが今大会を通して《タッサの二叉槍》でドローできた唯一の機会です。結局、このカードができることは大したものではなく、《思考を築く者、ジェイス》の方が優れている場合がほとんどです。
対コントロール戦(エスパー、青白、トリコ、オロスなど)では、以下のようなサイドボーディングをします。
+1《変わり谷》、+2《霊異種》、+3《否認》、+2《思考を築く者、ジェイス》
-4《雲ヒレの猛禽》、-2《波使い》、-1《タッサの二叉槍》、-1《急速混成》
当然ですが、どんなデッキと対戦しているかによって多少の変更はあります。《波使い》は簡単に除去されてしまうのでコントロールとの対戦ではあまり強くありませんが、除去を火力に頼っているトリココントロールは例外になりえます。《幽霊議員オブゼダート》が入っているオロスコントロールとの試合では《急速混成》が欲しくなります。ここに示したのは基本となる大雑把なプランであって、その都度適切なin/outを判断していく必要があります。多くの場合、基本的には《雲ヒレの猛禽》と《タッサの二叉槍》を抜いて、あとは相手がどんな除去をどれだけ持っているか次第です。もしかしたら《審判官の使い魔》もサイドアウトの候補になるかもしれません。
いずれにせよ、このサイドボーディグプランは素晴らしいものだと考えています。プロツアーで私が対戦した青白、エスパー、オロスに対して、いずれのマッチでも第1ゲームは負けましたが、残りの第2,第3ゲームを取り返すことができました。《霊異種》はまさに驚異的な強さでした。25枚もの土地のおかげで、7ターン連続で土地をセットし、《霊異種》を叩きつけて、そのまま勝利できたのです。
残りのサイドボードについて、《真髄の針》以外はどれも気に入っています。《真髄の針》は《歓楽者ゼナゴス》《世界を喰らう者、ポルクラノス》《ドムリ・ラーデ》に対処するために採用しました。本番のプロツアーでは、私は1回だけこれを使う機会がありました。その時は青黒コントロールと対戦していて、《悪夢の織り手、アショク》を指定しました。第1ゲームで《悪夢の織り手、アショク》でこちらの《波使い》を奪われ、4体のトークンを出されて負けていたためです。このゲームでは《真髄の針》は確かに相手の《悪夢の織り手、アショク》を封じてくれましたが、今度は相手が自身の《波使い》を唱えてきたのです!これを捌き切ることができず、結局そのマッチを落としてしまいました。《真髄の針》である別のカードを対処しようとデッキに入れたとしても、それが毎回盤面に影響を与えるとは限りません。そういうやり方が嫌いということもあって、《真髄の針》はデッキに入れるべきではなかったと思います。
《霜の壁》は非常に強力で、青い信心を2つも稼いでくれるばかりでなく、ほぼ全てのクリーチャーの攻撃を受け止めることができます。ブロックされたクリーチャーは次のターンにアンタップしなくなるので、対戦相手は複数のクリーチャーをコントロールしない限り攻撃しなくなります。もしあなたが《思考を築く者、ジェイス》の+1能力を使い始めたら、もはや相手は攻撃することがほとんど無意味になります。
《漸増爆弾》はセレズニアのトークンを流したり、このデッキの天敵である《霧裂きのハイドラ》を除去するためのカードです。当たり前ですが、プロテクション(青)はこのデッキにとってどうしようもありません。私たちの調整では、《霧裂きのハイドラ》はコントロールとの試合で非常に強力なサイドボードになると想定していたのですが、実際にプロツアーで見た《霧裂きのハイドラ》は当初の予想よりも少なかったです。対セレズニアのみを目的とする《漸増爆弾》は必要なく、プロツアーテーロスのメタゲームでは《霧裂きのハイドラ》はそれほど見かけなかったので、今回はデッキに必要なかったかもしれません。しかしながら、《漸増爆弾》が《霧裂きのハイドラ》に対処できる唯一の方法であることは変わりません。
《トリトンの戦術》はサイドボードの中では最も興味深いカードに映るでしょう。主な用途は《神々の憤怒》や超過《ミジウムの迫撃砲》を無効化することです。結局プロツアー中に一度もプレイすることはありませんでしたが、赤系デッキとの対戦の時にもし引けていたなら、きっと大活躍していたはずです。このカードは他にももっと多様な使い道が考えられます。唱えた時には、きっと対戦相手は驚くことでしょう。
プロツアーでここまで青単デッキが台頭するとは正直私たちは予想しておらず、サイドボードを用意していませんでした。青単デッキを選択する唯一のチームではないかとすら思っていましたが、実際はそうではありませんでした。Team SCGでは10人のプレーヤーが青単を選択していますし、スウェーデンのチームもまた青単をプレイしていました。間違いなく青単はプロツアーで最高のデッキであり、誰もこうなることを予想できなかったでしょう。そして実際に、青単は環境を席巻します。
今後青単はtier1に数えられることになるでしょう。私たちの場合、ミラーマッチ用には1枚もサイドボードを用意しませんでしたが、今後は必要になるでしょう。既にいくつか候補は用意しています。もちろん《反論》のように分かりやすいものでも大丈夫ですが、もう少しメジャーではない選択肢もあります。
1つ目は《閉所恐怖症》です。これは1体のクリーチャーしか対処できないので《波使い》に対して無力であり、対青単に限ればそこそこのカードでしかありませんが、他のクリーチャーデッキ相手にもサイドインすることができます。2つの青の信心を増やしながら、様々なクリーチャーへの対処が可能です。
もう1つのお勧めは《家畜化》です。このカードは相手の《夜帷の死霊》を奪えるなどミラーマッチで大変強力ですが、最も活躍するのは《波使い》を奪った時です。相手の《波使い》を《家畜化》できれば、トークンを一掃した上に信心を3つも増やすことができます。さらにはこちらが《波使い》を唱えた時、そのトークン達はさらに強化され、倒すことが難しくなるでしょう。
ここまでをまとめると以下のように改良できます。
4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《潮縛りの魔道士》
2 《前兆語り》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》
3 《思考を築く者、ジェイス》
2 《サイクロンの裂け目》
1 《急速混成》
21 《島》
3 《変わり谷》
2 《霊異種》
1 《閉所恐怖症》
2 《家畜化》
1 《反論》
1 《思考を築く者、ジェイス》
1 《変わり谷》
2 《否認》
2 《漸増爆弾》
1 《トリトンの戦術》
2 《霜の壁》
《思考を築く者、ジェイス》はこのデッキのおける最高のカードの一つですので、3枚目をメインボードに移して、逆に弱く感じていた《タッサの二叉槍》を抜きました。サイドボードの枠に余裕が生まれたので、そこに対ミラーマッチ用のカードを用意しました。
本当はもう少しこのデッキのプレイについて解説したいところなのですが、続きはチームメイトのRaphael Levyに譲ろうと思います。今週中には彼の青単デッキに関する記事が公開されると思うので、そちらも御覧になって下さい。
次回のビッグイベントはコロンバスで開催されるTCGplayer Invitationalになります。会場で私を見かけた方は、遠慮なく声をかけて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
乙です。
翻訳お疲れ様でした!
自分の日記などでも紹介したいと思います!